「プロセスカラー」と「特色」:印刷における色選びのポイント
印刷物に使用する色には、「プロセスインク」と「特色インク」の2種類があります。今回は、その中でも特色インクに焦点を当て、その特徴や活用方法について解説します。
プロセスカラーと特色の違い
- プロセスカラー
CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色を掛け合わせて色を表現します。幅広い色合いを再現できる反面、色の仕上がりは印刷条件や用紙によって変化することがあります。 - 特色
調合済みの特定の色を使用します。CMYKでは表現が難しい金色、銀色、蛍光色などを安定して再現できる点が特徴です。
「特色」の主な用途
特色インクは、以下のような場面で使用されます
- (1)目を引くデザイン
雑誌の表紙やポスター、商品パッケージなど、発色の良さを活かしてインパクトを与える場合。 - (2)コスト削減
経費を抑えるために少ない色数でデザインを表現する場合。 - (3)色の安定性が求められる場合
看板や企業ロゴ、商品ロゴなど、一貫した色再現が重要な場合。 - (4)用紙の色に合わせる場合
漫画雑誌や特殊な紙素材に印刷する際、用紙の色に調和する特色を選ぶことが適しています。
色を共有する重要性
デザイナーと「色」のイメージを共有するのは簡単ではありません。
■よくある課題
- ・「赤っぽくしてほしい」といった曖昧な指示では、どの程度の赤(暗め、派手めなど)を求めているのかがわかりません。
- ・複数の色案を提案する場合、やり取りが増え、時間と手間がかかる可能性があります。
■特色での解決
- ・色見本帳の活用
DIC、Pantone、TOYOなどの特色メーカーが発行している色見本帳を使い、カラーチップで色を指定することで、イメージのズレを防ぐことができます。 - ・効率的なコミュニケーション
特定の色を共有することで、クライアントとの認識を一致させ、やり取りの回数を減らせます。
■デザイナーにとっての特色活用
- ・色選びを効率化
色のバリエーションを考える際、特色のパレットを参考にすると効率的に色を決定できます。 - ・デザインの幅を広げる
CMYKでは表現が難しい色を取り入れることで、デザインに個性を持たせることができます。
まとめ:特色を使いこなして印刷物の魅力を最大化
特色インクは、色の安定性や発色の良さを求める際に非常に有効な選択肢です。以下を意識して活用してみましょう
- ①用途に合わせてプロセスカラーと使い分ける
特色を使うことで、デザインに高い付加価値を与えられます。 - ②クライアントと色見本帳で共有する
明確なカラーチップを基準にすることで、認識のズレを防ぎ、効率的な進行が可能です。 - ③デザイン作業を効率化する
特色のカラーパレットを参考にすることで、色選びにかかる時間を短縮できます。
特色を上手に取り入れることで、印刷物の魅力をさらに引き出すデザインを実現してみてください。